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KUMIKIとTOHOKU
はじまりは陸前高田。 東北発。
全国にひろがるソーシャルビジネス。[プロローグ]

「ガッガッガ」という電動工具の音とともに、最後の板材がはまる。小さなベンチが完成すると、「ワァっ」という喜びの声と笑顔がそこには溢れていました。この日は全5回のワークショップの最終回。これまでに不要な壁を解体し、杉フローリングを貼り、漆喰を塗り、ウッドデッキをみんなでつくってきました。

かかった手間は愛情へ変わり、ともにつくった関係はまた集う理由を空間に生みだしてくれる。長い間、誰にも愛されることのなかった小さな空き家が、木の香りただよう心地いい空間へと生まれ変わった瞬間でした。

みんなでセルフリノベーションをした小さな空き家

湘南のはじっこ「神奈川県二宮町」での空き家リノベーションワークショップの様子

 

今回は、家具から内装までをみんなでつくるワークショップを行う「KUMIKI PROJECT(クミキプロジェクト)」(*以下:KUMIKI PROJECT)について、ご紹介します。KUMIKI PROJECTは、個人宅やオフィス、お店などの空間づくりを、地域の人々や社員など、素人でもカタチにできるワークショップを企画運営する株式会社。

現在は、コワーキングスペースや、カフェ、ゲストハウス、オフィス、学童保育の校舎から、一戸建てまで様々な参加型の空間づくりワークショップを全国各地で実施しています。

そんなプロジェクトのはじまりは、2013年。奇跡の一本松で知られる岩手県陸前高田市。東日本大震災で大きな被害を受けたこの町で、流された集会所を自分たちの手で再建すべく、50名の地元住民と一緒にセルフビルドでつくりあげた2日間でした。

 

完成した集会所。土地かさ上げ工事のため、3年間の役目を終えて2016年に解体された

 

被災したまちの人たちの笑顔に出会って気づけたシンプルなこと。

2013年6月。ひさしぶりに顔をあわせるクラスメート。割烹着姿で登場したおかあさん、大工仕事は腕におぼえあり!のおじいさんも、みんながひとつひとつの木材のパーツを重ねあって、自分たちの集会所をつくりました。

 

 

ブロック型に加工された杉材をみんなで組み合わせていく様子

そこは、津波によってほとんどの建物を失った、岩手県陸前高田市・今泉地区。集会所のまわりには、また一緒に顔を合わせられた喜びと自らの手でみんなが集まれる場所を作り上げた嬉しさで、笑顔があふれていました。

まちに暮らす人々と、外から復興支援に訪れた人。みんなで過ごした2日間

 

だれかと一緒にいられるって、こんなに嬉しいことなんだ。みんなで作ることって、こんなに楽しいことなんだ。被災したまちの人たちの笑顔に出会って気づくことができたのはとてもシンプルなこと。その時の気持ちが、そのまま、プロジェクトのテーマになっています。

 

 

 

 

変わるもの。変わらないもの。これからの5年のために。

「集会所づくり」は、KUMIKI PROJECTにとって、すべての活動の原点でした。あれからもうすぐ5年。この5年間でいろいろなことが変わりました。陸前高田のまちの景色も、人々の状況も、私たちの取組も。それでも変わらないものもあります。

実は、活動をはじめた当初から今も、KUMIKI PROJECTのメンバーに建築経験者はいません。僕らは「家には基礎が必要だ」という当たりまえのことすら知らないなかで集会所づくりをスタートしました(笑)。当然、自分たちの力だけではできず、木材に関わる人、長い経験を積んだ大工さん、地元の建設会社など、多くの人々に逆に支援いただき、現在に至っています。この連載では、震災復興からはじまったKUMIKI PROJECTが、東北の地で何を考え、何に取り組み、どのように自分たちを変化させてきたのかについて、お話できればと思っています。

集会所づくりでの成功と失敗。地域に多い「気仙杉(けせんすぎ)」を素材に、家具づくりに挑戦したものの、うまくいかず事業を転換させなければいけなかったこと。

 

 

自分たちが地域や誰かの役に建てているのか自問自答し続け、補助金依存状態から抜け出し、自主事業へ切り替えていったときのこと。陸前高田から東京・早稲田へ進出し、家具のシェア工房事業で見えた真実。そして、現在の取組とこれから目指していること。

例えば、東北の地で新たに事業をスタートさせたい人、地域の資源を商品にしていこうとしている人、空き家などのセルフリノベーションに興味のある人、新しいことに挑戦したいけれど、なんなか勇気が持てなくて、一步を踏み出せない人。

そういう人に読んでいただき、少しでも僕らの体験がお役に立つならば、こんなにも嬉しいことはありません。これからお時間あるときに、お付き合いください。